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能登の旅-3 〜ランプの宿へ〜

〜1998年の旅行のお話です。8回にも及ぶ長編。
旧コンテンツからまとめて引っ越ししたものなので、物好きな人は読んでね〜

第2話はこちら


珠洲で降りる。ここの駅前には広いロータリーがありタクシーも居た!!
改札も券売機もあって、駅員さんもいる立派(笑)な駅だ。

バスの時刻表もあったのですが、何処行きに乗ればよいのか判らずに駅員さんに聞いたら

「ランプの宿に行くのね?今行かなかった? 15:2X発、これの次は17:XXよ。 ここ経由じゃないとダメだから。」

ガーン! 確かに駅を出てすぐ出発したバスがあった。
でも何処行きが良くて何処行きが違うのか判らないから確認中だったのだ!! 
すぐ乗っていれば十分間に合うタイミングだった。
どうしよう 本当に2時間待ちか? 

バスが無かったらタクシーにしようとは言っていたが、
いざとなるとタクシーは高くつくので躊躇していた3人はただ駅前に立ち尽くしていた。

その時、MはKに旅行費の前金を全額返せないでいたし、私も予想以上に出費がかさみ不安になりつつあった。
見通したようにタクシーの運転手さんが親しげに、だけど商売っ気を感じさせずに近寄ってきた。

「何処まで行くんだい?」
「ランプの宿なのですけど バス行っちゃったみたいで次は2時間後らしいです。」
「バスで行っても40〜50分かかるし、4人だったらタクシー代で割っても変わらないんだけどなー」
「えっ!? そんなにかかるんですか?(時間もお金も)」

てっきりバスだから300〜500円位だとばっかり思っていたが、距離が長けりゃそりゃ高いわな。
駅からバスで20分じゃ無いの?と確認するとバス停から徒歩20分であった。

yado1.JPG

「タクシーなら4300円位だし、宿の玄関まで行くし」と聞いて、(因みに逆算するとバスの運賃は1000円位するようだ)顔を見合わせ、決心がついた雰囲気だ。
さすがプロ早速それを読み取って、トランクを空けていた。
荷物を積み、KとMが後に乗り私は助手席に乗り込み ロータリーを出た。このころの雨はシトシトと気持ち良く感じられた。

そう言えば、
Mと私はお財布が気になっていて、私は郵便局、Mは銀行を探していた様な気が・・・ 

途中に郵便局を通り過ぎたんだよな。
喉まで止めてって声が出そうだったけど待たせるとまたメーターが上がるからやめておいた。
だから、次の日郵便局に行けるまでドキドキドキドキしていた。

さあ この運転手さん、車で元気によく喋るよー。
宿のこと、海の幸のこと、波の華のこと、雪のこと、いろいろいろいろ聞きました、と言うか喋り続けていた。

〜まず、ランプの宿について。
本当に辺ぴなところにあるようで、バスも1日5〜6本しか無く、一応ダイヤを聞いておいた。
朝は7、8、11時と丁度よい時間に無い。
バス停からが歩いて想像以上に長く、そのうえバス停に行って初めて案内看板があるのだそうだ。
そして年に数組、特に女性のグループは宿に日が暮れてから行ったりしたら、泣ながら戻ってきたりする事もあるという。
「騙されたと思って行ってごらん」といってもダメだそうで、考えただけでも野性がワクワクする。
日が暮れたら懐中電灯か何か無いと無理だな。

それから、宿の食事は豪勢で、食べきれる人はほとんどいないという。
海の幸については、会話の中で海の幸がおいしいと聞きましたと言うと、釣の話になった。
面白そうだけど まともに釣をやったことは無い。
宿に予約しておくと釣り船を用意してくれたりするそうだ。
自分で釣ったのがやっぱり一番だとか、冬はアオリイカが抜群にうまいとか、話は尽きずに続いた。
釣りというと、この日はとても波が穏やか、というより波は無かったというほうが良いかも知れない。

ところで、所々で見かける「波の華」と言うのを何のことかと不思議に思っていたのだが、
磯と荒波に揉まれた海水が泡立ち、華と言うか雪のようになるのだという。

その冬の風と言ったら凄いそうで、滝の水が海風に煽られて滝が落ちずに逆流することもあるという。
オーバーな表現なのか、本当なのかは定かではない。でも凄いんだろうな。
真冬ずっと波の華があるわけではなくて年に数回しかないのだそうだ。
それが道まで飛んできて泡に埋もれる。

そして金沢とかって豪雪地帯だと思っていたのだが最近は余り降らないらしく、「それは昔の話さ」と運転手さんは言った。
珠洲にも、金沢にも雪のかけらも無かった。ちょっと考えていたのと違ったな。
宿の方は風が強くて雪が積もらないそうだ。

30分くらい喋っていると、そろそろ宿も近くなった。

バス停が見えて改めて電車とバスの時刻表を照らし合わせた。
「うっ 接続悪ーい。」11時のバスに乗ったら、丁度よい11時20分の電車には乗れず、その次の電車は1時。
7時と8時のバスでは朝飯が食えないから、必然的にタクシーを使うか朝飯を我慢するしかないだろう。

さてバス停からの道だが、本当に山道の様で一応舗装路ではあるが結構太い枝が転がっていたりもするのだ。
明かりも全く無いので、さっき聞いた恐ろしくて帰ってくる話しは分かる気がする。
くねくねと道を走り、30゚位はあるかと思われる坂を下り、更にここからがエキサイティングだった。

「雪があるとお客さんはここから先に行くと戻って来れなくなるよ」

と運転手さんは言っていた。
でも、そこから少し行った所にお客様駐車場があり、その下が宿。

その先は幅2メートルの無山道を下っていくのだ。もちろん一般車進入禁止、というか無理だ。
まるでジェットコースターの最初の坂を昇るような気分だった。
そこを結構なスピードで下り、目の前が行き止まりになった。
左下の方へ同じような角度で坂が折り返しているが、これじゃあ 曲がりきれない。
前に少しスペースがあるからUターンできるのだろうか? と思っていたらバックで下るではないか!!
それも先程とスピードはほとんど変わらない!これは怖かった。
そしてまたスイッチターンで前進して下へ着いた。
2回折り返して下に着いたが高低差15M位あるのではなかろうか。

話は前後して、坂を下り始めた頃、宿の群が見えた。
まるでそれで集落の様にたたずんでいる。
黒い艶のある瓦が雨に濡れ、白い壁と黒い板壁と木材のコントラストが
私たちを数百年前の世界へ運んで行ったような気分にしてしまった。3人から感嘆の声が上がった。

見た目もいいけど中も食事も良かった。それはこれから。

<続く>

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